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コアに対するエクササイズアプローチ その1
JHCAでいう「体軸」に関わる部位を筋肉で表現すると、大雑把ではありますが、「コア」を外す訳にはいきません。通常「コア」=「体幹」・「腹筋・背筋」と、単純に捉えていますが、不十分に思われます。あるトレーナーも表現していますが、「コア」の捉え方は、「脊髄をサポートする、頭部・頚部・脊柱・肩甲骨・肋骨・骨盤・膝に関係する筋肉」と捉えるのがよいのかも知れません。
脊椎動物である人間は、脊椎を軸として支えるために、細かな筋肉・大きな筋肉がついて脊柱をサポートしています。しかし、姿勢の変化がない静的な状態であればまだしも、スポーツではダイナミックな動作が行なわれ、姿勢を安定させると共に、身体を力強く、しなやかに動かす必要があります。そのためにも、「コア」を「腹筋・背筋」のみにしぼるのは、あまり良い考え方とは言えないのかも知れません。
そこで「コア」に関する筋をまとめてみると、以下のようにまとめられると思います。
脊柱から肋骨・骨盤にかけての筋肉(背部)
脊柱起立筋 (最長筋・棘筋・腸肋筋)
短背筋 (半棘筋・多裂筋・回旋筋・棘間筋・横突間筋など) |
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肋骨から骨盤にかけての筋肉(腹部)
腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋・腰方形筋など |
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脊柱から肩甲骨にかけての筋肉(上肢との連結)
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僧帽筋・肩甲挙筋・菱形筋など |
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脊柱から上腕骨にかけての筋肉(上肢との連結)
前鋸筋・広背筋など |
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脊柱から骨盤にかけての筋肉(下肢との連結)
腸骨筋・大腰筋・小腰筋など |
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骨盤から大腿骨にかけての筋肉(下肢との連結)
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大殿筋・中殿筋・小殿筋・内、外側ハムストリングス
大腿直筋・腸骨筋・大腿筋膜張筋など |
※以上の区分けでは、足りない、あるいは区分が違うと言う場合もあると思います。一例としてあげてみました。
当然、身体の機能にとって重要な考え方として、姿勢を安定させるためのスタビライゼーション、ダイナミックな動作を遂行するための可動性(モビライゼーション)が必要となります。
この機能が働いてこないと、
①力がうまく伝達されない(キネマティックチェーン)
②姿勢が維持できない(安定性)
③ダイナミックな動きができない(可動性)
という問題がでてきます。
姿勢が不安定な状態では、コンタクトスポーツではスポーツ外傷のの誘因になり、ノンコンタクトスポーツでは肩・鼠径部・肘・膝などのスポーツ傷害にも大きく関わると思われます。もちろん腰痛などの原因のメジャーポイントの1つとしてもあげられます。(ホリスティックコンディショニングでは、他のメジャーポイントの場合もあるので)
また、スポーツパフォーマンスにも大きな影響を与えます。例えば野球のピッチングで、股関節の可動性が悪く、コアが機能せず、腰が抜けた場合には、下肢のパワーを上肢にキネマティックチェーンで伝えることができず、パフォーマンス低下がおきます。こういった選手はかなりいると思われます。
サッカーの動きも同様で、キックのように片足で立って、股関節を大きく動かしてボールにパワーとスピードを与えるためには、コアがバランスよく機能していることが重要となります。
このようにコアは、動作を非効率的にしたり、逆により効率を良くしたりしており、とても重要な部位になります。前述しました様に、各自筋肉の起始・停止部と働きを理解し、そのエクササイズの方法論を学び、より良い指導を目指す必要があると思います。
次回は、エクササイズの一例を紹介する予定です。
参考文献 コーチングクリニック 2003年10月号 ベースボールマガジン社