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バランスボール(ペルビックチルト)エクササイズと機能低下

 バランスボールエクササイズで、ペルビックチルト (骨盤の前・後傾可動エクササイズ) がある。(写真参照)

      
    

 10数年前よりバランスボールエクササイズを指導する中で、この種目の重要性も唱えてきた。 ただ、指導する中でこのエクササイズのため、腰の不調を訴える者も少なからずいたのも確かである。 現在、ホリスティックコンディショニングを受講している皆様にはおわかりだろう。 仙腸関節は、特に筋肉の支配を受けていない唯一の関節で、ひっかかり・ロックがある際には、筋肉のエクササイズでははずすことが難しい。それ と共に、仙骨の可動性、腸骨の変位などあらゆる問題が生じている可能性が潜んでいる。

 特にペルビックチルトは、 骨盤帯を後傾 (恥骨を引き上げるように) にしながら、腹筋下部を使うことによるスタティック・ダイナミックアライメントの調整、 骨盤帯のスタビライゼーションに効果があると思われる。
 ただここで注意が必要である。 骨盤がもともと後傾タイプ・仙骨の可動性が後方のみ多い方にとっては、機能低下による問題が生じることが考えられる。 また次のような状況もありえる。

 仙骨の前方・後方の動きはあっても、 特に腰仙関節・腰椎部の椎間関節の動き (ファンクショナルジョイントプレー) が減少しているため、 ペルビックチルトのエクササイズが骨盤帯から胸腰移行部のみの可動性だけで行われ、 その結果体軸のぶれにつながっている場合もみうけられる。(下写真)

   

 これに伴うマイナスの筋骨連鎖を考えてみると、 下部僧帽筋・広背筋・腰方形筋・大腰筋などの筋弱化・アンバランス、またロベットでの反応によるマイナス骨連鎖、 内臓反射による消化器系の機能低下など、考えるときりがない。
 よって骨盤帯・椎間関節を正しい動きにして機能低下を修正し、特に動きを重視したファンクショナルエクササイズ (機能的エクササイズ) を行うことが望ましいと思う。
 ただ中には、腰仙関節や、特に腰椎椎間関節のジョイントプレーを出しすぎることによる機能低下 (筋弱化) をおこすクライアントもいるので、 必ず筋反射チェックにより正しい修正方向を考えるべきである。

 今までも何度か説明してきたが、 モビライゼーション (可動性) とスタビライゼーション (安定性) の両バランスが必要である。 機能的なファンクショナルジョイントプレーを確保し、腹斜筋・腹横筋・多裂筋・棘間筋などで安定させる。動きと安定性、それも機能低下によるマイナス連鎖がおきないように。
 このあたりが、これからエクササイズを指導する上でのポイントとなるように思う。