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共同筋を意識して働かせる
通常アイソレーションエクササイズ(単一の筋のみを意識して働かせる種目)、特にマシーンなどは、単一筋の発達は優位に見込めますが、複合的・キネマティックチェーンとしての刺激に対する即効性としては、適応を引き出す要因として乏しい場合もあります。
先日、「合気道の極意」なる番組がテレビで放映されていましたが、身体にふれるか、ふれないかの一瞬に、相手は投げ飛ばされていました。格闘技でよく聞く言葉があります。「本当に投げが決まった時、決められた時ほど、何をされたか分からない」と。それだけ“氣”による集中力と、その裏打ちされた技の一体感からくる言葉だと思います。
“氣”なるものは、ホリスティックコンディショニングの内容におけるメンタルと関係が深く、ここでは詳細を控えておきます。
合気道も流派によって変わってくるとは思いますが、基本はまず、末梢の手関節や足関節から「どう技を伝えるか」らしいです。一例をあげれば、相手の手関節をいとも簡単に扱うことにより、相手を投げてしまうことができる、逆に相手は耐え切れずに投げられてしまいます。それで我慢でもしてしまえば、耐えられるどころか、骨折もやむを得ないらしいです。大げさな投げられ方は、そのための受身と言っても過言ではないでしょう。手関節への刺激を、肘・肩に伝え、全身へと拡げる。まさに、キネマティックチェーンの極意ではないでしょうか。ただし、体軸がしっかりしていなければ、宝の持ち腐れとなります。
そこで、今回のテーマ『共同筋を意識して働かせる』
エクササイズを行う際、主動筋と拮抗筋の働きに意識を集中させるのは当たり前です。ただ、日常動作・スポーツ動作は複合動作のため、体軸をいかにキープして目的動作を遂行させるかが、大きなカギとなります。そのためにも、共同筋もより意識してエクササイズさせる場面も、もっと必要になってくると思われます。
写真1
(写真1)は、肘を中心にした上腕部・回旋種目の「ゾットマンエクササイズ」です。左右同方向に回旋するのが基本ですが、それを両側ともオールタニット(交互)に内旋のみ、または外旋のみをリズミカルに行ってみてください。(写真2)
写真2
そうすると、骨盤帯の左右への横ブレを感じることと思います。動きの連動性ということでは問題はありませんが、もし体軸の安定性(スタビライズ)が必要であれば、これを止めるように努力しなければなりません。当然、この横ブレは下肢外転筋群と、その筋に対応する内転筋群との対角・複合バランスおよび、スタビライゼーションからくるものです。腕立て伏せの形を例にとると、次のようになります。小・中学生で腰の反った形(写真3)はよくあるパターンで、これこそ共同筋(固定筋)として働く、体幹スタビライゼーションが弱い一例です。
写真3
特に身体(体幹)が固定されているマシーン類については、エクササイズを行う上で、共同筋として、安定筋・固定筋をあまり働かせずにすみます。それに、ホリスティックコンディショニングのセミナーでも時々話しがでますが、シーテッド系のマシーンについては、骨盤帯の軸のブレがあると、それだけで上肢のどこかに筋弱化がでている場合もあります。マシーンが悪いという事ではありませんが、やはりフリーウェイトでのエクササイズと、どう複合的にプログラミングしていくかが重要で、かつ、ファンクショナル(機能性)を高めるためにも、共同筋もいかに意識させるかが、みなさんの指導の幅を広げる要因になってくるとおもいます。