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アテネ・オリンピックにみるメンタル・ストレス

 日本中が興奮したアテン・オリンピックも終わり、虚脱感が蔓延している時期であるが、今回のオリンピックでは様々なテーマについて考えさせられた。特にその時期アカデミーやセミナーに参加されていた会員の方は、私の唯我独尊的な話を聞かされた上に、この一文でとどめを刺されるか、「そんな、バカな!」と、ますます違和感をもたれるかのいずれかであろうが、記してみたい。

~メンタル・ストレスの恐ろしさ~

 柔道の最も金メダルに近いといわれた男が、メダルを取れずに敗れ去った。見ていた日本人の誰もが彼の本来の動きではないことは、直ぐに理解できたはずだ。私も 「ン? どうしたんだろう・・・」 と、感じた一人である。 次の試合も明らかにおかしい。チェックすると・・・・足―膝―骨盤はもとより、全身の体軸がブレている。骨盤の歪みが特に大きく、膝が安定できないレベルにあった。
「おかしい! とにかく、おかしい! 何が原因か?」  直ぐに理解できた。メンタル・ストレスが過剰に反応しており、副腎で処理できず、骨盤をサポートする筋群がものの見事に弱化している。
「何のストレスか?」  オリンピックでのプレッシャーではない、柔道界の問題でもない・・・・出てきたものは、父親であった。明らかに『父親』の問題が絡んだストレスに反応している。すぐTVで見た父親を思い浮かべてチェックをすると、消化器系の機能低下が伺われる。
「何かあったのではないか?」 その時は、そう判断した。だが、何か問題があって、父であり師でもある父親に駄目だしをされるほどの何かをしてしまって、父親にこっぴどく叱られた結果なのか?

 翌日の講習会で、この点を参加者の方々に説明した。だが、さらに 3日後のテレビ画面でのその選手の映像を見て、異性との何らかの問題の気配が漂ってきた。それを察した父親に・・・・。邪推はやめよう。
 4年越しのオリンピックの本番でこれほどまでに体軸をゆがめる原因は、表面には出なくてもまだまだ他の要因もあるだろうから。
                             

~上級ホリスティック・コンディショナーに求められるもの~

 言いたいのは、これからである。もし・・・ホリスティック・コンディショナー、それも上級ホリスティック・コンディショナーがついていれば、
「現場で対処できたであろうに――」   という無念の思いがこみ上げる。たとえメンタル・ストレスで身体の軸を歪めて極端に力の入らない状態に陥ったとしても、最低限のサポート――体軸の回復程度はできるであろう。
  次のオリンピックまでに、上級レベルのホリスティック・コンディショナーがチームに帯同して、ホリスティックな見地から選手たちをベスト・コンディションに仕上げられる人材を輩出しなくてはならない、と改めて思った出来事であった。
                                               
~ 氣エネルギーの照射~

 女子マラソンは深夜にもかかわらず大変な視聴率であったという。もちろん私も寝ながらスタート前から見ていた一人である。
 世界最高記録をもつラドクリフは、スタート前の映像から体軸がブレており、椎間板に依然として問題を抱えていることが判断できた。だから、トップを走っていても、「いずれつぶれるよ」と言っていたが、案の定、脱落。棄権した。日本選手では、レース前から機会あるごとに「野口はまったく軸ブレがない。彼女は期待できる!」と言い続けてきた。
 一方、土佐、坂本選手については、「軸がズレている。このままでは期待できない。」と言ってきた。しかし、レース間近の映像から、体軸は整ってきており、 「どうやら調整はうまくいっているようだ。しかし、坂本、土佐の二人は頭蓋に問題が残る。 42キロを競うレースでは、この問題が最終的に致命的な結果を生むであろうから、期待できない!」  と講習会では述べてきた。だが、共に上位に入賞して、うれしい的はずれとなった。

 さて、野口選手。とにかく問題が見出せない。上り坂でスタートしてグングン引き離した時も、他の追随する選手でこれほどまでに体軸がとれた選手はいなかったので、安心していたらヌデレバが追走してきた。 40秒近くもあったタイム差が一時15秒程度に縮まったとき、野口選手の仙骨に乱れが生じ始めた。私は必死になってこのブレを食い止めるべくパワーを送り続けた。恐らく、そんなのは何の効果も示さなかったであろうが、テレビ観戦していた全ての日本人は、自分と同じく『ガンバレ!ガンバレ!』の声援パワーを出していたに違いない。

                                                  
~ゴール直後の強烈なブレ~

 野口選手は、ゴール直後の給水時に、吐いている姿がカメラを通じて入ってきた。チェックすると、ものの見事に体軸がブレている。このブレは、他の土佐選手や坂本選手より大きいものであった。勝利した安堵感から、これまで張り詰めて維持してきた軸が、一気に緩んだ結果である。いや、ここまで肉体を凌駕し続けたメンタルの高さに、あらためて野口選手の凄さを感じた次第である。

 メンタルは、『競技力の30%を占める』とホリスティックコンディショニングNo.1で、私は述べている。しかし、この野口選手や柔道の某選手を考えると、メンタル・コンディショニングが競技力に占める要素―――潜在意識が行動能力を決定的に支配し得る、というレベルで捉えることの必要性を再考させられる。

                            平成16 年8 月下旬記        文責:矢野 雅知