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コラム34

上級レベルのパーソナルトレーナーの到達点

その2

巨大なニーズに応えられる指導力

 前回、クスリ漬け医療の実態について、少し触れた。今回は、これがメインとなるテーマである。
 そして―――これこそが、上級パーソナルトレーナーにとって、いまだ未開拓な巨大なニーズのある問題となる。
 これについて、具体的に述べていきたい。

 一般成人の大多数は、毎年定期的に『健康診断』を受けている。そして、ある年齢に達すると、『人間ドッグ』でさらに精密な検査を受ける。生活習慣病やガンなどの早期発見に不可欠とされている。
 これは―――元々健康な人であっても受診するのであるから、Aランクの「何ら異常なし」の判定を受ける人が大多数である、と思われがちだ。だが実際には、「異常なし」は全体の12%程度である。健康であると自信を持っている人を含めて、9人中8人までが『異常』と判定されるのである。
つまり、多くの国民(成人)は
● 何らかの異常をもっている。
● 要精密検査/経過をみて再検査する。
 との、指摘を受けることになる。

 本コラムをお読みのほとんどの方はご理解いただけると思うが、検査結果は「数値基準」として示される。この基準値から逸脱したものが異常と判定されることになる。だが、その検査項目の数値基準そのものが、
● 十分な根拠に基づくものではない。
 という実態を知っておくべきであろう。
 科学的に十分な根拠が認められるのは、『血圧測定』と『一部の問診(喫煙と飲酒について)』だけであり、高い費用を支払って受診するに値するものではない、ということが、医療機関によって指摘されている。
 逆に、あまり意味のない「異常な検査項目があるので、要再検査」という診断結果の提示は、
● 受診者を、不安にさせる。
という、マイナス要因を生む結果となる。
 実際、
● 医師が告げる冷酷な「病気の宣告」ほど、精神的なストレスを与えるものはない。
医師が口裏を合わせて「あなたは、ガンです!」と3人ほどの人が指摘するだけで、本当にガン細胞が発現するのが、人の身体なのである。

 一方で、
現在の高齢化社会の中で多数を占める中高年者において、身体に何らかの異常が診られない人は、「ほとんどいない」というのが実態である。それが、わが国の国家予算に占める膨大な医療費問題の根本的な課題となっている。
 多くの病める人は、医療機関で「画像診断」などの検査を受けて、「クスリ」を処方される。すべて医療保険の点数に換算されて『医療費』として請求されるシステムになっている。
● 医者は、クスリを処方することが「仕事である」。
● 仕事に忠実であるほど、儲かる仕組みであり、クスリの副作用を考慮して処方を控える医師では、医療施設の経営は成り立たないシステムとなっている。
● 現在の多くの医師は、ひと昔前の医師と違い、聴診器ひとつで身体の状態を把握し、患者の顔色などを診て診断できる能力がない、ことが指摘されている。
● このような医師は、「カゼの症状なのか、それ以外の症状なのか」すら判らず、すべて画像診断などに依存している。これでは、実際の『機能診断』が十分に行なえない。例えば、脊椎のフィクセーション(関節の固着)が椎間板の問題を引き起こしていても、X線では解らない。ましてや、このような問題を、クスリで解決しようとしても無理である。現状のシステムでは対処できないという実態がある。

つまり、このようなシステムがある限り、国民医療費の高騰は避けられない。心ある医師が、クスリに依存しないで診療しようとすれば、病院経営は成り立たないシステムなのである。
もっと患者の話を聞いてあげて、優しい言葉をかけて、懇切丁寧な医療をやろうとしても、営利優先になれば『5分間診療』とならざるを得ない実態がある。
だから
■ 自分の身体について、懇切丁寧に話を聴いてくれるパーソナル指導を求めるのは、必然なのである。
■ X線で解らない脊椎のフィクセーションなどの構造的な問題は、運動指導と併用して解決することが、最適な方法となる。それゆえ、パーソナル指導の必要性が高まるのもまた、必然なのである。

 しかし一方で、
● 医師に問題を指摘されて(嚇かされて)、クスリを服用することで安心感を得る。
 ということもまた、事実である。
医療機関に行けば、多くの人は何とかなると思っている。
ただ、多くの人は、
● クスリを呑みたがらない(副作用があることを知っている)。しかし、ビタミン、ミネラル系の処方であれば、摂取したがる(副作用はないと思い込んでいる)。
● 実態は、大多数の人が2種類以上のクスリを処方されている。
● 医師本人はクスリを呑みたがらないし、自分の家族のものには、できるだけクスリの服用は控える傾向がある。

我々は、次のことを明確に心得ておく必要がある(私は、クライアントに実態を理解してもらうために、次のことを説明することが多い)。
● 心因性のストレス過剰が、身体の生体エネルギーバランスを崩す大きな原因なので、クスリを服用すると症状を長引かせる可能性が高い。
● (話をしているだけで、クライアントのエネルギーバランスは回復してくる。だから、)精神的なストレスを解消させるために、身体を動かすエクササイズなどをやることを薦める。通常、「安静にする」ことは薦めない。
● 医師は、クスリを処方することが仕事である。画像診断などを行なって、問題を解決するために行うことは、「患部を除去する」(外科手術)か「クスリで治す」かのどちらかである。(クスリで、全ての身体(脊椎など)の歪みを治すことはできない)。
● クスリは、必ず副作用がある。だから、長期間に及ぶクスリの服用は薦められない。クスリに頼らずに、本来的な自分自身に備わった自然治癒力を高めることが大切である。

 以上のことは、いわば常識であって、多くの人が頭では理解していることである。だが、次の点は、多くのクライアントには抜け落ちているので、理解させることが必要であろう。

 私は、クライアントの身体の問題は、「クスリが、(肝臓や腎臓あるいはすい臓などの臓器に)ストレスを与えている原因です」と指摘すると、初見の方の多くが怪訝な顔つきをする。医師に処方されたクスリが、
● 体調不良の原因
とは、とても思えないからなのであろう。
 しかし、
 明確にその実態を知っておく必要があると思われる。
● クスリに副作用があることは、誰もが知っているが、どのクスリとどのクスリが複合されたら、どのような副作用が生じるかといった問題は、ほとんど配慮されていない。(サプルメントに含まれる添加物も同様である)
● 予想以上に、ビタミンやミネラル系を含むサプルメントのストレスは大きい。クスリと同様に、内臓不全の原因となりえる。
● 多くの人が処方される血圧の『降圧剤』は、副作用が大きい。この降圧剤と他のクスリの複合作用は未解明である。降圧剤は、一度服用を始めると、リバウンド作用が強いので、服用を中止することが困難となる。そのため長期間の服用をせざるを得ない事態に陥り、長期に及ぼす他のクスリとの人体への副作用は、その実態を解明しようがない。
● 巨利をむさぼる製薬メーカーは、国民が半健康状態であることが、最ものぞましいと考えている。一発で病気を治してしまうようなクスリの出現を、決して望んでいない。これは世界共通の認識である。

 これについては、少し解説を加えておきたい。
私がチェックすると、クスリを服用している方は、ほぼ例外なく『肝臓』『腎臓』にストレスがかかっている。クスリに含まれる身体が嫌がる成分(毒素と表現すべきもの)を、解毒するのは『肝臓』であり、血液中の毒素を解毒するのは『腎臓』である。
つまり、
これらは身体の浄化器官であり、「肝腎かなめ」となる重要な臓器なのである。
● クスリが効かない症状は、いくらでも見出されている。だが、クスリを処方するのが医師であり、それが仕事であり、クスリの処方によって保険点数が得られて病院が経営されているので、実際に「クスリでは治らない」「効かない」ことは解っていても、『痛み止め』など副作用の強いクスリが処方されている。
● もし、「クスリで治る」のであれば、「クスリは医療機関に通い続けると、どんどん増えていく」という現状に矛盾する。だが、中高年者の多くは『クスリ漬け』にされており、医師の指示通りにしていると、次々と新たなクスリを服用されていくことは、ちょっと身近な人を観察すれば明白である。
● だから、国家予算を脅かすほどの過大な医療保険費が支払われており、医薬品メーカーと厚生労働省OBなどを含めた世界的な巨大な闇組織が、背後でうごめいている、といわれるのである。
彼らは、国民が常に半健常者の状態で、医療機関に通い続け、常に何らかのクスリを服用し続けていくことを望んでいる。

実際に、糖尿病を治せるクスリが開発されたが、開発者には巨額な裏金を渡して公表させなかった。その結果、いまだに効果の低いクスリを提供し続けている。
また、
エイズを治せるクスリも開発された、との情報もある。だが、エイズ自体が、膨れ上がった人口を間引きする必要性があることから、意図的に開発した人類抹殺(間引き)計画のひとつであって、爆発的に人口が増える後進国(アフリカの一部)に散布された、という話も漏れ伝わってくる。巨大な利益を得られるので、エイズに効果のあるワクチンは、当分世間に出回らないであろう。
 さらにいえば、
● ガンに有効とされる抗がん剤は、効くのは1割程度であって、大半の人にはあまり効果が示されない。
 と指摘されている。
 このことは、厚生労働省も承知しているといわれる。それ故、医師本人やその家族がガンの場合、抗がん剤は決して処方しない、というのは裏世界の常識である。

では、なぜ放任されているのか。
いうまでもなく
● 巨大な利益が、抗がん剤でもたらされる。
 からだ。

 この恐ろしい実態を何とかするには、今のシステムにおいては医師が主役となるのではないことは、確かである。
 国民の健康を担うのは―――全て西洋医学の医師が行なうことではなく、『代替医療』の担い手も関るべきである、とする論調に切り替わりつつある。
 それは、必然である。

 このことは―――フィットネス施設におけるパーソナルトレーナーのニーズが拡大することを意味している。ただ、多くの人は、パーソナル指導は、
●運動指導と、運動終了後に気持ちよくマッサージやストレッチする。
 という認識しかない。
 だから、
満足感は得られても、「その必要性が高い」という認識には至っていないというのが、実状であろう。
この認識を変えられたら、フィットネス施設におけるパーソナルトレーナー(上級レベル)のニーズは、巨大なものとなる。
それは―――その視点を変えることによって、フィットネス施設が、単なる健康施設から、医療サポート施設・予防医学の大きな拠点となっていくことを意味するからである。今後は―――そのような方向に向かわざるを得ないものとなっていくのは、まず間違いない。それは、必然なのである。
だからこそ、上級レベルのパーソナルトレーナーのニーズが、一段と高まっていくことを、我われは認識する必要がある、と思われるのだ。

 さて、
東大22世紀医療健康センターは、
● 50歳以上の60%が、変形性脊椎症である。
と指摘している。
これは、考えてみれば大変な数字である。中高年者の大半は、正常に脊髄神経が働いていない、ということを意味していることである。
もちろん、これはクスリで回復できるものではない。周囲の筋群のバランスを整えて、変形した椎骨に適切な刺激を与えることで、回復への治癒能力を高めることができる。
 つまり、
これは―――通常の医療機関ではなく、通常の街の治療院ではなく、フィットネス現場に関る上級レベルのパーソナルトレーナーが担う問題なのである。だから、巨大なニーズを開発して、パーソナル指導が主体になっていくのは、必然なのである。


 医療の実態を、もう少し述べておきたい。
というのは、「クスリ漬け医療」や「高騰する医療費」は、日本だけの問題ではないからである。

 米国の医療の実態を知ると、このことはよく理解させられる。
● 米国における西洋医学の医師は、順調にいっても開業するには30代前半となってしまう。20歳代では一人前の医師にはなれないシステムになっている。
 つまり、
 とてつもない時間と経費をかけて医師になったからには、それを取り返して裕福になるためには、医療費を高騰させるしかない、という実情がある。
 米国においては
● 日本と違い、国民皆保険のシステムになっていない。保険に加入するには、自分の意思で保険会社に高い保険料を支払う必要がある。だが、低所得層の人々はこの保険料が払えない。現金がないと入院もできない。その結果、病気が蔓延する一因となっているともいわれている。
● 盲腸で入院すると約200万円必要となる。だから、手術を受けても入院しないで、そのまま帰宅してしまう。入院しただけで金がやたらにかかるからである。
● ガンにかかると、保険に入っていない場合、家を売っても医療費を払いきれない、といった事態となる。
● 黒人などの低所得者層は、金がなければ、入院手続きさえもできない状況となっている。

 このような状況を、オバマ大統領は弁護士活動を通じて知っているからこそ、医療改革を宣言しているのである。
 つまり、
● カイロプラクティックのような、『医療費が安い』『クスリのいらない手技』を、統合させようとしている。
● 臨床医学よりも、予防医学を優先させようとしている。
 のである。

 カイロプラクティックは、2006年にWHOが正式にその有効性を認めて、ガイドラインを発表している。それによると
● カイロ教育には4200時間が必要
● 西洋医学のドクターの資格を持っている人でも、2300時間以上が必要
 としている。
だが、これは実際には極めて困難な数字である。
 専門大学レベルでの教育を受ける必要性があるということであり、現実問題として社会人である限り、無理である。
そんな必要はない。
身体の構造体や機能が理解できればできるほど、対処はよりシンプルになる(これについては、別途)。我われが行っているホリスティック・コンディショニングは
■ よりシンプルであるが故に、有効である。
■ 予防医学という観点から、フィットネス施設で体軸を確保させる指導こそが、最良の結果を導ける。
■ 街の治療院(針灸・整骨・カイロなど)では、自動運動(運動・エクササイズ)が実施されない。自動運動と身体の調整を併用することが、より良い効果を生み出す。
 からである。

さて、
世界的に著名なアンドルー・ワイル博士などは、
「巨額に膨れ上がった米国の医療費を下げて、効果的な医療を実現するには、西洋医学だけでなく、代替医療であるカイロプラクティックや東洋医学なのを複合させた統合医療に解決策を見出す以外にない」
 と、断言している。
 実際、
現在の医学は、西洋医学から統合医学へ変わる方向に向かっている。
■ クスリ漬けの医療に疑問
を持つのは、いわば必然であるからだ。
そして、
■ 小児科、産婦人科、脳外科は激減している。
医療トラブルが多く、訴訟問題を嫌がる傾向を反映しているが、今後は、ホリスティックな医療に活路を見出そうとしている。
 これもまた、必然であり、究極的には「外傷事故」などに対処する医療(整形外科など)と、予防医学を含めた統合的な医療の2本柱に集約されていくものと思われる。

 このことはまた、
● パーソナルトレーナーも、2極化が一段と進む。
 ということになるであろう。
誰でも
● 今のまま(半健常者)でよいとは、思っていない。
● 健康体であるには、フィットネス施設に行って、運動する必要があることは理解している。
● テレビなどで紹介される健康エクササイズは、(過去の経験から)自宅では絶対に続けられないと思っている。
また
● パーソナルトレーナーに運動を指導されても、その場ではリフレッシュされて気持ちよいが、自分の抱えている疾病を治してもらえるとは思っていない。
 という状況にある。
 つまり、
● 運動不足であることは、実感しているが、やる気が起きない。
● どうしようもなくなったら、医療機関に行けば何とかなる。それまでは、現状の生活を改善する気は実際にはない。
● 病気を治すのは医療機関であり、病気予防は自分自身で生活習慣を変える以外にない。
と思っている。
 恐らく、これが大多数の人の思考パターンであろう。

 これを―――変えるのが、上級レベルのパーソナルトレーナーであり、社会的な責務であるとさえ、私は考えている。

一般的なパーソナルトレーナーと上級パーソナルトレーナーとの絶対的な相違は、
● 非健常者(疾病などを持っている)を、健常者にできるか否か
 にある。
 はっきり言って、
● マッサージ系の手技で気持ちよくさせるテクニック
 を、いくら駆使しえも体軸を確保することは難しい。
● クライアントの「体軸を確保して、生体エネルギー循環を正常にする」ことで、本来的な自然治癒力は高められるが、通常のアプローチの多くが、体軸の確保の視点で判断すると、不十分であると思われる。
解りやすく表現すると、「治せるか」「治しきれないのか」といった相違―--これこそが、両者を明確に分別するポイントとなる。

 まだまだ、上級レベルとそうではないレベルとの相違はあるが、次回に譲る。
 
本稿の最後に、重要な点をもう一度述べておきたい。
現在の世界的な不景気は、資本主義の根本的な問題―――米国経済の根幹がとうの昔に揺らいでいることに起因している。
米国は、もはや日本の400兆円にのぼる郵貯や中国が国債をさらに購入してくれない限り立ち行かない。小泉・竹中コンビによるにわが国の郵貯を米国に差し出すことに、民主党政権は待ったをかけたように思われる(郵政改革見直しなど)。

註: 小泉政権が郵政改革を行なおうとしたとき、米国のウォール街は「日本の郵貯400兆円が手に入る」と大喜びして、電通を通じて5000億円もの巨費を投じて小泉政権を応援した(当然、日本のマスメディアの大半はコントロール下におかれている)。

 ということは、我われ日本人の400兆円が簡単に米国に持っていかれないように歯止めをかけようという政策に乗り出すことになり、それが成功すれば、ほぼ間違いなく米国は破綻する。
 だとすれば、この世界的な不況は一気に加速する可能性を持っている。それはフィットネス界も直撃することになる。
 だが、
 本物であれば、揺らぐことはない。どのような社会情勢になろうが、2012年のアセンションを迎えようが、揺るぎない―――体軸の取れた安定した状況にある。
 どういうことなのか。

 現在のパーソナルトレーナーの大多数が、『運動指導』と『癒し系のマッサージ/ストレッチ』などを組み込んで、
● クライアントに「満足感」をもたらす指導をしている。
 この満足感があるからこそ、次回も継続して指導を依頼するのであるが、このような社会情勢になると、満足感を得るだけでは立ち行かなくなってくる。
 一方で、さらなるストレス社会が様々な体調不良を生み出していく。そのため、
● 人々は病気/体調不良を治す「必要性」がある。
● 気持ち良くリフレッシュされた「満足感」を得る。
 といった二者択一を迫られる状況となろう。
 要するに、『満足感を得る』のか『身体に必要なこと(治療系エクササイズ)をやってもらう』のかという選択を迫られた場合、必要性の高い方を選ばざるを得ないことになる。
 つまり、
● クライアントは、フィットネス施設において、身体の異常な部位/体調不良を治してくれるパーソナルトレーナーを選択するようになる。
 ということである。

 恐らく、「糖尿病なので、指導・調整をお願いします」といってパーソナルトレーナーの指導を受ける方は、まだまだ少ないであろう。
 だが、
● 全国民のおよそ6人に一人は、糖尿病もしくはその予備軍
● 50歳以上ともなれば、3人に一人は糖尿病もしくはその予備軍
 といわれている実態がある。
 糖尿病とその予備軍は、その一例であるが、これこそ巨大なマーケットである。
 糖尿病だけではない。
● クスリで治らない疾病は山ほどある。
● 医療機関では、クスリで対処できない疾病(動脈硬化、心身症、不眠など)は承知しているが、クスリで対処せざるを得ない。
● 本質的に、糖尿病はクスリの処方だけでは、十分な効果を上げられない。適度な運動エクササイズを併用することで、大きく改善される。
 ことが解っている。
 いや、
クスリで治らないからこそ、我われが身体を調整して、最良のコンディションに導いてやる必要性がある。つまり―――体軸をしっかりと確保できるようにしてやるのである。治すのは自分自身の治癒力によるもので、他人が治すものではない。我われは、この自分自身で治す力を、最大限に引き出せるようにお手伝いするのである。
 ホリスティック・コンディショニングのアドバンス・コースは、基本的にはこの対処ができる人材の育成に主眼が置かれている。だから―――人を「癒せる」だけではなく、「治せる(体軸を確保して、生体エネルギーが正常化する)」ようになることが、指導プログラムの主体となっている。

 この潜在的に巨大なニーズに対して、フィットネス施設がこのニーズに対処できる方向に踏み込むということは、
■ 巨大なマーケットに対処できるような上級レベルのパーソナルトレーナーのニーズが、さらに一段と高まってゆく。
ということである。これは間違いなく、時代の必然である、と思われる。

 最後に、もう一つ重要なことを述べておきたい。
病気の人を治すような分野に踏み込むと、医師法や他の治療系の有資格者との問題が生じるのではないか、という危惧についてである。
 その点、
● まったく問題はない。
 その理由は、
● 「職業選択の自由」は、法律ではなく、憲法に保障されたものである。
だから、パーソナルトレーナーという職業として、自信を持って行うのでる。
 また、
 医療資格がないのに、医療行為を行なったとして最高裁まで争った事例があり、これは
● 最高裁で、「身体にとって良いことは、医療資格の有無に関らず行なってもよい」という判例が出されている。
● 米国などと同様に、鍼灸師/柔道整復師などの一部の団体が、自分たちの利権を守るためにカイロプラクターなどの規制強化を訴えていたが、失敗に終っている。法的な根拠が見出せなかったからである。

このような経緯を知らない人や無知な人は、「拇指―小指の筋反射チェック」ですら「医師法に触れるのではないか」ということを、今でも口にすることがある。
まったく心配ない。堂々とホリスティック・コンディショナーとして、振舞って頂きたいと切望する。

つづく