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コラム35

上級レベルのパーソナルトレーナーの到達点

その3

リハビリと顎関節機能障害に対処できうる人材

  前回までに、パーソナルトレーナーの業界は日進月歩して、優秀な人材が求められる時代になってきたことを述べてきた。それは----時代の必然である、ということも述べてきた。
 フィットネス施設における草創期のパーソナルトレーナーは、トレーニングエリアを管理・監視する指導者が、「適宜要請に応じて運動器具の使用方法などを、個別に指導・アドバイスする」といったもので、「有料で指導する」という発想は、ほとんどない時代に誕生している。

 20年以上も前になるだろうか、あるシンポジウムで
「日本は、米国を範とするフィットネスの潮流がある。その潮流のひとつに『個別指導』の有料化が、これからは一段と進んでいくと思われる。そのため、パーソナル指導を職業とする分野は拡大していく・・・」
 ということを、パネリストの一人として述べたことがある。

 その当時は、トレーニングエリアを管理するインストラクター/トレーナーが、指名を受けて有料で指導をするケースが、時々あった程度である。
この場合、ある大手のフィットネスクラブでは
● 指導者本人へのバックマージンは、「1回につき500円」程度であった。

当然、このパーソナル指導では職業として成り立たないが、それ以外では、ごく一部にパーソナル指導の専門家(プロ)が存在した。クライアントの自宅プールで、水泳を指導するプロもいたのである。
 そして---現在
 プロフェッショナルのパーソナルトレーナーは、フィットネス施設繁栄の一翼を担うまでに成長した。優秀なパーソナルトレーナーが多く存在するほど、フィットネス施設におけるメンバーの定着率は高いものとなるからだ。
 昔から、集団指導(グループレッスン)の優秀な指導者を確保することが、フィットネス施設繁栄の鍵を握る要因の一つとなっていたが、今後は、優秀なパーソナル指導者が、病めるメンバーの健康保持に密接に関わるようになるだろうし、集客の中心的存在となるのは明らかである。実際、そのような状況になりつつある。
したがって、健康産業の中核を担う「人材の確保」が、今後の急務とも言うべき課題でもある。

 前回にも述べているように、「満足感を得る」だけの指導ではなく、パーソナル指導を受ける「必然性のある指導」のできる人材が、求められるのである。
 だが、
 従前のスタイルで指導・アドバイスをするだけでは、この業界から淘汰されて消え去ってしまうことになる。私が通うフィットネスクラブでも、当初から生き残っているプロは、数人である。次々と入れ替わっていった。
 また、(前回の繰り返しになるが)
 全世界的な不況は、わが国も例外ではない。不況は---医療系への参入者を増やすことになる。
 現在、毎年1万人もの医療系の有資格者(柔道整復師/鍼灸師など)が誕生している。そのうちの約1割が開業を目指すが、その一方で、毎年廃業者が同数程度いるのが現状である。

 2008年の朝日新聞に、柔道整復師の悪質な医療保険請求の告発記事が掲載された。それによると、今後は、
● 医療保険の使えるアンマ、マッサージ式の経営は難しくなる。
ということである。
 柔道整復師の医療保険の総額は、毎年3000億円程度であるが、有資格者が増加しているにも関わらず、これは増えていない。
 専門家による分析では、
● 保険請求は下がることあっても、上がることはありえない。
ということなのである。
 下がり方が急でないので、麻痺している。保険請求と別に、自由診療(自費治療)を伸ばす以外に、このような打開策はないとの指摘がある。

 米国におけるカイロプラクティック・ドクターの資格をとるには、6年間の専門大学での単位取得が必要であるが、死に物狂いで勉強してドクターの資格を得ても、競争社会の米国では
● 5年後の廃業率は、50%に達する。
という厳しい実情がある。

 さて、
 開業しない・できない有資格者が約9割となるが、その方々は行き場を求めてフィットネス業界に入ってくる。だが、クライアントのニーズに応えられないパーソナル指導者は、次々と脱落していく。
消え去った多くの治療系の有資格者を知っているが、フィットネス業界では、看板よりも実力が全てであり、フィットネス施設内での『口コミ』に成否がかかるので、クライアントが満足できない指導・対処を続けていては、いずれ消え去っていく。

 そうならないために、我われのホリスティック・コンディショニング---特にアドバンスコースは、そのようなニーズに対処するカリキュラムが組まれているので---を習得して頂いて、フィットネス施設における未開拓の『巨大なニーズ』に、応えてほしいと切望する。


 本シリーズの「到達点」は、実際にどこまで行き着くのか解らない。
それは---私を乗り越えて、その先を目指している若きパーソナルトレーナー達が少なくない現状から、最終的な到達点を示すことが難しいが、現時点における上級レベルのパーソナルトレーナーの実像の一端を示しておきたい。

歯に充填するアマルガム(水銀との合金)は、身体に悪影響を及ぼすことは判っている。だが、いまだに保険治療の対象として、この素材は使われている。
理由は、
□ 米国において、アマルガムが身体の体調不良の原因となることは、(明白であるにも拘らず)頑として認めない。
 からである。
 訴訟大国である米国において、「アマルガムによって健康を害された」と認めてしまうと、天文学的な数の訴訟問題に発展する可能性があるからだ。米国に追随する我が国もまた、アマルガムの弊害が大きいことは承知の上で、歯科医は歯を削り取り、アマルガムを充填しているのである。

 機能的な原因を追究していると、この『歯に起因する問題(アマルガムからインプラントまで)』は予想を超えて多いことに驚かされる。
 金属などが身体に及ぼすストレスとなるのは、電磁気が発生するからである。24時間四六時中起こり続けることになるので、この問題が体調不良の主因となる場合、防ぎようがない。
 だから、
□ 身体にとってストレスとならない物質に代える。
 ということを、薦めている。

 しかしながら、
 現時点において、歯の治療において完璧に身体にとって無害なものは、「存在しない」という。
 では---どうしたらよいのか。

 肉体に埋め込む(充填する)異物を、
□ 異物として脳に認識するのではなく、身体の(正常な)一部分
 として、認識させてしまうことである。
 つまり、
 脳に対して、その金属(アマルガム)あるいはインプラントの波動を、
□ 脳に正常な波動
 として、認識させてしまうのである。
 このことは、もちろん半永久的に有効なわけではない。だが、私自身の経験で言えば、数ヶ月間は持続効力があるようである。

 このように---波動を身体に調和させる脳反射を引き起こせるのは、「上級レベルのパーソナルトレーナーである」といってよいと思われる。

 今回の主題は、次の2点から考察しておきたい。
それは---2006年に保険診療報酬の改定されたことについてである。
● 歯医者は、顎関節治療の「スプリント調整(咬合挙上副子の調整)」は、月に1回しか算定できなくなった。
● 整形外科のリハビリ料の設置基準が厳しくなり、小規模なリハビリ施設では、従来の保険請求ができなくなった。開業医は「鎮痛/消炎」などの処置のみしか算定できないことが多い。

莫大な、膨れ上がる医療費を抑制するための苦肉の策であるが、これは当然の帰結ともいえるかもしれない。今までの、過度な医療費垂れ流しの実態が問題視されたからである。
今のままでは、3割自己負担である健康保険も立ち行かなくなって、5割負担に移行せざるを得ない、との指摘もある。

 このことは、上級レベルのパーソナルトレーナーにとっては、活動の範囲をさらに広げることでもある。
 保険診療が『安い』から、人々は医療機関や街の保険治療院に行くのであって、自己負担率が上がれば、「より有効な対処」を求めて人々はそちらに流れていく。パーソナル指導における『対処能力』『調整能力』が高ければ、いかなる不況がやってこようがビクともしないであろう。

 例えば、歯科医における『顎関節治療』に焦点を合わせると---
 口を大きく開けられない人や、歯を噛み締めると全身に抑制弱化反応を示す人は、かなり多い。下顎骨が側頭骨との関節(顎関節)に、正しく入っておらず変位しているからである。
 顎関節症候群では、歯の噛み合わせ不良が起こり、全身に機能不全が生じて身体を歪める結果を導いてしまう。アスリートでは競技能力に直結する問題となる。
 これを、歯の『スプリント調整(保険対象)』で行おうとする歯科治療そのものに疑問がある。顎関節機能障害がなぜ起きるのかが、明確になっていないと思われるからである。

● 顎関節は、左右それぞれが、腰椎4番と腰椎5番に対応している。
● 腰椎4番も5番も、『足関節』など様々な構造的に対応する部位がある。
● それらの部位が歪めば、下部腰椎が歪み、仙腸関節の変位として現れる。当然、対応する顎関節の機能障害を引き起こす。
● 顎関節症の大多数にC1-C2変位あり、この半数に、問診調査では自律神経失調症/心身症/うつなどの傾向があると指摘されている(著者注:この大多数は、霊体(エネルギー体)に根本原因があると思われる)。

また、
● 顎関節の構造的な原因としては、それぞれの関節機能障害から誘発されるだけではなく、下顎骨をしっかりと側頭骨に安定させるためには、『全ての頭蓋骨』が正常でなくてはならず、
● 側頭筋や内外翼突筋、咬筋の左右バランスが正常でなくてはならない。
● これらの筋バランスを正常化するには、頭蓋骨の微妙なクラニアル・ウエーブ(頭蓋骨からの、脳脊髄腋循環における全身に行き渡る波動)が、正常に機能していなくてはならない。
---といったことが求められる。

 このことから、顎関節を正常にするアプローチは、歯科医が行う範疇を逸脱しているかもしれない。顎関節だけを修正しても、解決に至らないケースが多いのは、単なる歯の問題ではなく、身体全体に関わる問題であるからだ。

といっても---顎関節機能障害は多く人が内包している問題である。
この問題が、様々な症状を誘発している可能性がある限り、しっかりと下顎骨を関節窩に安定させることは、フィットネス現場でのエクササイズや、スポーツパフォーマンスで最上の結果を求めるためにも、必須のこととなる。
 つまり、
 スポーツ・運動・エクササイズに関する限り、正常な顎関節に対処するのは、通常の歯科医でも外科医でもない。保険診療に関わる治療院でもない。これは ---運動指導の現場では、我われが対処すべき問題なのである。特に、パーソナル指導に携わる方が、この問題に対処する能力が要求されている。

頭蓋骨修正のアプローチが求められるので、ホリスティック・コンディショニングではアドバンス・レベルでのプログラムとなっているが、主要な関節や筋機能を正常化して、全身のバランスを回復できる能力---上級レベルのパーソナル指導者が、多くの方に必要とされる理由が、ここにある。

 これは、ほんの一例であるが、パーソナル指導に関われば関わるほど、運動エクササイズと緩和系プログラムを組み込んだだけのアプローチでは、実際にはクライアントのニーズに十分に応えられない。
上級へのステップアップが要求されるし、それに対処していかないと、時代の波に取り残されて---いずれ淘汰されていってしまう、と思われる。
 私がメンバーとなっているフィットネスクラブでも、単一なプログラムに終始しているパーソナルトレーナーは、次々と消え去っていった。クライアントの抱える潜在的なニーズに応えきれなかった結果であろう、と推察している。

 さて、
 もうひとつの「リハビリに関わるフィットネス現場での対処」に焦点を当てる。
整形外科のリハビリ料の設置基準が厳しくなり、小規模なリハビリ施設では、従来の保険請求ができなくなり、開業医は「鎮痛/消炎」などの処置のみしか算定できないことが多くなった、ということである。
 つまり、
● 従来は、リハビリと称して簡単な処置で保険請求が行えたものが、本格的にリハビリが行える施設・人員が確保できないと、保険対象とならない。(商売として成り立たなくなってきた)
ということである。

 このことは、
○ パーソナルトレーナーが、マンツーマンでのリハビリを行なえるシステムが求められる。
 ということにつながってくる。
 医療機関でのリハビリで、一人ひとりにマンツーマンで---例えば、上肢や下肢の機能回復でPNFパターンによるエクササイズを行なっているケースは、ほとんどない。
 一人ひとりにそのようなことを行っていたのでは、あまりにも需要が大き過ぎて負担となってしまう。マシーンを使って運動させたり、ワンポイントでアドバイスする程度でないと、多人数をシステマチックにこなすことができないといった事情がある、と思われる。
 このことは、マンツーマンで指導する個人指導の専門家、つまりパーソナルトレーナーが、このリハビリに関わるワークをもっと請け負うべき可能性を示している。これは---かなり大きなニーズが潜在していると思われる。
 当然、
○ フィットネス施設で行なうには、歩行困難な方や介護の方は現実問題として難しいが、骨折・捻挫・脱臼などの外傷事故や、通常の機能回復の問題は、エクササイズの専門家であり、適切な個別プログラムを提供できる人材が、医療機関と提携してリハビリ系のアプローチを行なうべきなのである。
○ 体軸を確保して、リ・コンディショニングを行える人材が、今後はもっと求められることは確かである。
○ 医療機関のリハビリ施設(ハード)は、必ずしも十分ではない。フィットネス施設のハードを活用できる環境が求められる。

 私自身の経験談を述べたい。
 膝(靭帯再生)の手術後(十数年前)、大病院のリハビリ施設は不十分なものであった。他の大病院でも似たり寄ったりで、通常のトレーニング施設でエクササイズをやりたくて仕方なかった記憶がある。
 私は、同室の患者にリハビリのアドバイスを出過ぎない程度に行っていたが、
○ リハビリ・プロイグラムは、その患部へのアプローチが主体で、全身の機能回復を促すといった『全面性の原則』を踏まえたものではなかった。
○ 協働筋(共同筋)・拮抗筋・対応筋などの観点から捉えたプログラムは、ひとつもなかった。
また、
私自身の患側のサイズが大幅に落ちたので、
○ 対応部位の運動刺激をやってもらいたかったが、それが可能な人材はいなかった。
○ 患側の大腿部のサイズ低下を最小限にするために、健側のレッグ・プレスや対応筋の上肢筋群(広背筋など)強化のために、ラットマシーン・プルダウンなどをやりたかったが、運動器具がなかった。

 このことから、フィットネス施設における『リハビリ』主体のパーソナル指導の必要性を、実感しているのである。
 それは---
● 膝のリハビリには、『レッグ・エクステンション』よりも、まずサイズアップとしての『レッグ・プレス』が求められる(リハビリ・プログラムでは、レッグ・エクステンション系のエクササイズが多い)。
● ゴム系エクササイズ(セラバンドなど)をリハビリでは多用するが、このようなプログラムでは、機能回復が遅くなる可能性がある(これについては、コラム@@参照)。
● 機能不全の部位に焦点を当てる傾向のあるリハビリ・プログラムを、その部位に関わる『連動連鎖(キネマチックチェイン)』の観点から対処できる専門家の指導を必要としている。
といったことである。

 前述したように、医療機関の現場では、一人ひとり懇切丁寧にマンツーマン指導できる環境下にある例は少ないと思われる。
 例えば、拘縮している筋群があり、それを解消するには単なるストレッチではなく、筋膜の『リリース』が必要と思われても、多人数をこなす医療現場のPTなどの指導者では、一人ひとりに時間をかけて対処することは現実にできないであろう。
 パーソナル指導を依頼されたパーソナルトレーナーなら、『筋膜リリース』
を時間をかけて行える。つまり---個別のニーズに応えられる。

 また、
 実際には「運動エクササイズの専門家ではない医師」の指示に従って行うことが前提となる医療機関でのリハビリ・プログラムでは、全面性や個別性、特異性といった基本原則に対応しない傾向があるようで(これは、私自身の経験上のものなので、全てに当てはまることではない)、マイナス筋連鎖や骨連鎖を引き起こすエクササイズなどが、組み込まれてしまうことがある。ゴム系エクササイズなどは、その典型例である。
 これについては、岩間副理事長の体験を示しておきたい。

 岩間氏が、まだ日本スポーツ科学センターに顔を出しているときのことである。ある競技のアスリートが、リハビリを長い期間受けていた。基本的にそれぞれの競技団体やアスリートには、専属のトレーナーなどがいることから、要請されない限りは、こちらから口を出さない暗黙の了解事項がある。
 たまたまその競技の関係者と顔見知りであったので、リハビリ中のアスリートを診ることになった。結果、部位対処の観点から、身体全体を連動連鎖の観点で捉えなおして、通常にエクササイズできる部位は、しっかりとアスリートの視点で行わせるプログラムに変えて、リハビリ・ルームではなく、本格的なトレーニングとしてのエクササイズをトレーニング・ルームで行うことで、目覚しい回復を示し、そのアスリートは国際大会に復帰した。

 また、
 オリンピックに出場したある女性アスリートは、大病院でPNFの専門的な指導を、それを専門に個別指導していたあるPTから受けていた。それは、「全面性」「特異性」を無視したプログラムで終始しており、筋のバランスが崩れるからと、健常側の通常のエクササイズは行わせなかった。
そのため、一般人と異なり、アスリートとして身体全体の機能低下が著しく、見かねたあるドクターを介して、私が指導することになった。
○ ほぼ通常に近いプログラムで、健側は徹底的に鍛えこんで、連動性―全面性を回復させていった。
○ 脚のリハビリであったが、ランニングは衝撃が大きいのでできなくとも、スクワットは衝撃が大きくないので、行える。
 ⇒ このことは、自分自身の膝のリハビリで体験していた。術後2~3ヶ月で140キロ程度のパラレル・スクワットを行っていたが、走ることはできなかった。
○ 股関節伸筋群主体のデッドリフト(ルーマニアン・スタイル)や膝などで衝撃を受けないスタイルのハイ・プルなどを重視した、通常のリハビリ・プログラムとは、明らかに異なるルーティンを組んでいた。

その女性アスリートは、1ヶ月程度で150キロのフル・スクワットでプログラムを組めるようになり、再びオリンピックに出場した。
このとき、もう一人リハビリを受けているアスリートがいた。一度私のリ・コンディショニングを同じように受けたが、「この状態では、アスリート・レベルとしての回復が遅れる」と指摘したが、その方は大病院でのPNF指導を受け続ける選択をした。そして---そのまま現役として復帰することはなく、引退していった。
 
 私は現在、治療系の身体調整を行っているが、明らかに「エクササイズ」を必要としているクライアントが多いことを実感している。体軸が整って、全身に生体エネルギーが循環している状態に回復したら、継続的なエクササイズを適切に行えるパーソナルトレーナーが対処することで、目覚しい効果を示すことができるであろう、と思われる。
○ 多くの糖尿病患者などは、身体がエクササイズを求めていることが解る。
○ ガン患者においても、自分自身の細胞をガン化させてしまう精神的なストレス対処のために、定期的・継続的なエクササイズの実施が必要となる。
こういったケースを、数多く診てきている。

 このようなことから、リハビリにおいては、次のことをもう一度認識しておきたい。
□ 医療機関のリハビリは、保険適用の範囲が制限されて、十分な対応ができないケースが増えている。
□ リハビリを行う運動施設は、従来の簡易な運動機器よりも、フィットネス施設で行ったほうが多面的な刺激を与えられて、効果的に回復を促せる可能性が大きい。
□ 「PNF」や「様々な体軸エクササイズ」をプログラムに組み込むと、回復効果が大きい。だが、これはパーソナル指導なくしては行えない。
□ しっかりとした体軸を確保して、運動効果を高めるためには、それ相応のレベルにあるパーソナルトレーナーによる個別指導が求められる。
以上のことから---
 今まで以上に、リハビリ系の分野での連携・指導のニーズが高まってくると思われる。これは、時代の必然である、と思われる。

 最後に、「上級レベル」としての視点で、PNFの具体的な活用例を示しておきたい。
通常のスポーツ・運動エクササイズ系やリハビリ系のテキストには、(恐らく)示されていないと思われるが、ホリスティック・コンディショニングの講習ではおなじみである。
〔 介護系対処の一例 〕
クライアントは、生体エネルギー循環不全で、「身体を動かす気力に乏しい」状態にある。これを、「仰臥位」姿勢のままで対処する。
□ 脊椎の軸が外れた椎骨(右変位や左変位ではなく、左右とも変位している状態)を、チェックする。(腹臥位なら簡単にチェックできる。上級レベルは、仰臥位でもチェックできる)
□ その椎骨の中で、ポイントとなる椎骨を選択する(これが不十分であれば、軸ブレの椎骨の全てに対処することになる)。
⇒軸ブレの椎骨は胸椎・腰椎が対象となる。単なる「椎骨変位」ではないので、通常は数箇所が見出されるであろう。
□ その選定された椎骨に対して働きかける『運動角度』にセットして、他動での足関節主体のPNFをかける。
□ これで、かなり体軸は整うが、一時的なものなので、少し自動運動(本人の意思で動かす)を加えて、その『運動角度』で股関節―肩関節を通して全身に働きかけると、軸ブレの椎骨全てを修正して、体軸を整えることが可能となる。
□ これにプラスして、足関節の「相反性運動」などでアプローチしていくとよい。

平成21年12月初旬記