柔道選手へのスペシフィックエクササイズ 
 今回は、アテネオリンピックでメダル獲得の大躍進を遂げた柔道選手の、あるトレーニング期の
エクササイズを紹介したいと思います。

 これは、サーキットトレーニングの一種目として行なわれたエクササイズです。
ホリスティックコンディショニングの重要な理論の1つに、FNC(機能的神経−筋コンディショニング)
があるのは、皆様ご理解いただいていると思います。
 その中でも、キネマティックチェーン(連動連鎖)が動作遂行の上では、見落とすことができません。
当然、プログラミングを行なう上でも、Functional(機能性)を高めるためには必要不可欠です。

 柔道の場合、相手のえりを持つための握力は、勝敗を左右する1つの要素です。
チンニングなどの際、チンニングバーにタオルを引っ掛け、柔道着を持つ感覚に近い状態で
懸垂を行なう(特異性:Specific)ことは、当たり前のようにおこなわれています。(写真1)
写真1
 下の写真(写真2・3)は、このパターンに、体幹のバランス(スタビリティー)もとり入れた、複合的なエクササイズの一例です。
 
 スクワット・パワーラックにバーを3〜4本置きます。斜め懸垂を行なうようなポジションに位置し、両脚はボールの上に乗せ、バランスをとります。

 ここから綱渡りならぬ、鉄棒渡りです。昔、小学校時代にやった、うんていを両手飛び越えで行なった、あの要領です。これを繰り返すのです。

 グリップは、オーバーグリップ、アンダーグリップ、リバースグリップ等、使い分けます。
写真2
写真3
 
 当然、もっと競技特性を考えるならば、タオル等をいくつもぶらさげて、行なうことも可能です。(写真4)


 テレビで見ても分かるように、最近の柔道は、組み手争いが熾烈で、えりを取ってもすぐ切られるような状況です。いかに組み手争いを制するか、それと体幹のバランスとの複合、この様な競技特性を生かしたエクササイズが、今後ますます重要になってくると思います。 
写真4
 

 ただ忘れてならないのは、ベースの筋力です。体幹は相応のベースStrength,かつ上肢については、上腕部から前腕部の最大筋力の向上や、ピンチグリップ(写真5・6)のような、はさみこむ筋力をつけることをお忘れなきように。
執筆 JHCA 岩間 徹
写真5
写真6